・・イストワール オブ エテルノ・・
『Histoire of Eternto』
第3話 蒼穹の燕(エンペリアン シュヴァルベ)≪登場人物≫
ユアン=イグニス(22)♂:物腰が柔らかく、いつも誰かに巻き込まれている平和主義者。
中性的な外見をしてる。主要武器は拳、等。
スレイヴ=グローリア(41)♂:気さくで型にはまらない自由者。主要武器は槍。
カルテリア(18)♀:活発で元気ハツラツ。人をからかうのが好きな楽観的。
主要武器はナイフ・小道具。
トゥライト(24)♂:口の悪く少し短気だが人情に厚く仲間思い。
取り敢えず言ってることは適当。
主要武器に関しては何でも仕えるオールラウンダー。
ナグラーダ=フロイデ(35)♀:淡々とした喋り口調で多忙ゆえ無駄な会話は好まない。
主要武器は無し。色々な公務職を掛け持ちしている。
オルフィス(25)♂:見た目はもの優しそうだが、若干ナルシスト気質で皮肉屋。
主要武器は無し。足技。
ダーダン(23)♀:妖艶であり不思議な雰囲気をかもし出している。
自分大好きで我侭娘。己の欲に忠実だが、制御は出来る。
主要武器は鞭。
マクタバ=サージュ(43)♂:儀に礼儀を尽くす、堅物タイプ。
謎の男(28)♂:喋りは単調で無口。それ以外は謎。
フードを被っているため姿も認識できない。
≪配役表≫(4:2:1)
ユアン(♂or♀):
スレイヴ♂:
カルテリア♀:
オルフィス♂:
トゥライト♂・兵士♂:
ナグラーダ♀・ダーダン♀:
マクタバ♂・謎の男♂:
0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0--0---0----
≪共和国ランガルト・首都フラーテル≫
オルフィス:「此処が、フラーテルだ」
ダーダン:「うふ、このごちゃごちゃした感じ。何回見ても好きになれないわね」
オルフィス:「守護獣ピルカを慕い同じ天を仰ぎし者達の集り、か」
ダーダン:「結局は馴れ合いの集まりでしょ?」
オルフィス:「そういうことだね」
ダーダン:「あたしは、纏まりがあって、清潔で煌びやかな方が好き。
どうせなら王都に行きたかったわ」
オルフィス:「ここで我侭を言うのは無しだ。そういう決まりでしょ」
ダーダン:「む、分かってるわよ。あたしが居ないと何も出来ないんだからん」
オルフィス:「分かってるじゃないか。あぁ、えっと、そっちの準備は?」
ダーダン:「完璧☆」
オルフィス:「なら後は任せたよ」
ダーダン:「あら、もう行くの?」
オルフィス:「ん、早く会いたい人がいるんだ」
ダーダン:「例の子かしら」
オルフィス:「良く分かったね」
ダーダン:「目を見れば分かるわよ、爛々としてるもの」
オルフィス:「そうかい?」
ダーダン:「ふぅん。あたしには関係無いからどうでも良いんだけど。
でも、可哀想だから勢い余って殺しちゃ駄目よ?」
オルフィス:「ふふッ、キミよりは自分をコントロール出来ているつもりだ」
ダーダン:「クスッ、なら良いけどね」
オルフィス:「それじゃ・・・」
ダーダン:「あ、ねぇ」
オルフィス:「ん、まだ何か?」
ダーダン:「ううん、その“白馬の紋章”良く似合ってるわ、うふふ」
オルフィス:「ありがとう、それじゃ行って来るよ」
ダーダン:「いってらっしゃい」
ユアン:「『Histoire of Eternto(イストワール オブ エテルノ)』
第3話 蒼穹の燕(エンペリアン シュヴァルベ)」
≪ギルド内某所≫
トゥライト:「はぁ~ぁ。全然ねぇなぁ」
カルテリア:「良い仕事ないの?」
トゥライト:「あぁ」
ユアン:「最近依頼が随分減ったね」
スレイヴ:「まぁ、大所帯のギルドが四団体も密集してりゃ
仕事の取り合いになるわな」
トゥライト:「こんなんじゃ、俺たちが食いッぱぐれちまうだろうがっ!」
ユアン:「規模の小さい依頼なら山程あるんだから
コツコツ消化していけば良いんじゃないかな?」
トゥライト:「んな、チマチマ細けぇ事してられっか」
カルテリア:「どーせなら、大きい奴をこなしてパーっと稼ぎたいよ」
スレイヴ:「まぁ、一理あるな」
ユアン:「それにしても、此処数ヶ月の間で
大規模な仕事量のが減ってるのは確かだね」
カルテリア:「だよ。本当、ギルド協会は何してるんだろ?」
トゥライト:「わかんねぇって、怠けてんじゃないのか」
スレイヴ:「我が国の宰相殿も、多忙極まりないからな。そう急かしてやるなって」
ユアン:「主格のいないランガルトで、
全ての公務責任者を、宰相一人で請け負ってるんだし、
必然的にそうなってしまうのは、仕方ないよね」
カルテリア:「だったら、最初からみんなで分担すればいいじゃない」
トゥライト:「それが出来りゃとっくにやってるって」
カルテリア:「ん、どゆこと?」
ユアン:「この国の制度って、何で決まるか分かる?」
カルテリア:「制度? えっと、投票だっけ?」
スレイヴ:「そうだ、民主主義って奴だな。
元々、異民族同士が集って出来た国だ。
どっかの誰かさんが立候補した所で
民間人の支持を相当数得られなきゃ、公務責任者になる事は出来ない」
ユアン:「只でさえ民族間の諍い(いさかい)が絶えないのに、
更に問題を増やした所で、まとまる筈がないよね」
トゥライト:「でも、昔に比べりゃマシになったんだろ?」
スレイヴ:「まぁな」
カルテリア:「今の宰相って確か、ナグラーダ=フロイデって人でしょ?」
ユアン:「そうだね」
カルテリア:「なんでその人が宰相なの?」
トゥライト:「俺も知らねぇ」
スレイヴ:「あぁ、そうか。お前ら二人は知らないんだったな」
ユアン:「確か、二人がこのギルドに入ったのは3、4年前だったよね」
トゥライト:「あぁ、此処に入る前は冒険者(バックパッカー)やってたけど
一々お国事情は気にしてなかったからな」
カルテリア:「うーん、私も遠くの田舎にいたから、
これといって関心はなかったかも、直接関係無いしぃ」
スレイヴ:「成る程。そういやぁ、ユアンの方は勉強熱心に色々調べてたな?」
ユアン:「うん、少し興味あったからね」
カルテリア:「お勉強なんて、私には無縁な話だよ」
トゥライト:「オメェには、似合わないもんな」
カルテリア:「で、出来ない訳じゃないよ!?」
トゥライト:「あっそ」
カルテリア:「何かムカツク、ムキー!」
ユアン:「相変わらず仲良いね」
スレイヴ:「くくっ、飽きなくていいじゃねぇか」
ユアン:「ふふ、確かに」
スレイヴ:「んで、お前らは話聞くのか、聞かないのか?」
カルテリア:「あ、はいはい! 聞くきくー!
私一応新参者だし、教えて欲しいデス!」
トゥライト:「仕方ねぇな。聞いといてやるよ」
スレイヴ:「ふっ、んじゃ続きだな。このフラーテル自体、
他の所と比べて歴史が若いってのは知ってるな?」
カルテリア:「うん、それは知ってる」
スレイヴ:「んでな、現宰相ナグラーダ=フロイデ嬢は、
歴代宰相の中で、最も絶対的支持を誇ったと言われている、
ムッシェル=フロイデの娘さんだ」
トゥライト:「親の七光りって奴かよ」
ユアン:「それだと、皆が納得しないんじゃないかな」
トゥライト:「は?」
カルテリア:「さっき私が言ったでしょ? 投票制って」
ユアン:「民衆が納得せざるを得ない事情があったからこそ、
宰相の地位に立てたみたいだよ」
スレイヴ:「ん、結構有名な話だな」
トゥライト:「へぇ」
スレイヴ:「荒くれ者が多いギルドを纏め上げる為に
国との協力体制を作ったのもナグラーダ嬢だ」
カルテリア:「女の人なのに凄いんだねぇ」
スレイヴ:「あぁ。他にも色々あるんだが、話したら切が無い。
一番身近な所で言えば、俺等の所属しているギルド協会がその一つだな。
まぁ、若いのに良くやって・・・」
【爆発音】
トゥライト:「うわっ、なんだ!?」
カルテリア:「いぃ!?」
ユアン:「っ、爆発音?」
カルテリア:「ふぃ~、びっくりしたぁ。私、急いで様子見てくるね!」
スレイヴ:「あぁ、頼んだ」
カルテリア:「はいよっ」(去る)
ユアン:「随分、近い場所で聞こえた気がするけど」
スレイヴ:「嫌な予感はするな」
カルテリア(声):「ちょ、ちょっと!! 出て来て!
大変な事になってるよ!? ひぃい」
トゥライト:「どういうこった?」
スレイヴ:「取り敢えず、様子を見に行くぞ」
トゥライト:「あぁ!」
ユアン:「分かった」
≪ギルド外部≫
カルテリア:「あ、来た来た! ちょっとこれ見てよ、結界に穴開いちゃってる!」
トゥライト:「うひゃぁ、デッケー穴だな、こりゃ」
スレイヴ:「カルテリア、兵士が動いている様子は?」
カルテリア:「う~ん。今の所、無いみたい」
スレイヴ:「ったく、こういう時にすぐ動けなきゃ意味ねぇだろ」
ユアン:「どうする?」
トゥライト:「俺はいつでも動けるぜ、リーダー」
カルテリア:「私も周辺の情報集めと援助はすぐに出来るよ」
スレイヴ:「ふっ、それに比べて動ける部下達で助かったぜ。
んじゃ、爆発地域及び、その周辺の捜索。
魔物も侵入している可能性もあるからな。最優先事項は民間人の保護だ。
ま、現地での判断はお前らに任せるが・・・」
トゥライト:「なんだよ」
スレイヴ:「ん、一応言っとくか。おそらく他のギルドも動き出してる筈だ。
くれぐれも揉め事だけは避けろよ」
カルテリア:「それは、トゥライトに言ってぇ」
トゥライト:「は? 何でだよ」
カルテリア:「だって、一番心配だもん」
トゥライト:「はっ!?」
ユアン:「そうだね」
トゥライト:「ユアンまで!? 俺、そんなに信用ねぇのか??」
スレイヴ:「ま、手柄争い程面倒な事はねぇからな、くくっ」
ユアン:「スレイヴ、面白がってない?」
スレイヴ:「いんや。それじゃ各自他のメンバーへの通達含め、行動を開始してくれ」
トゥライト:「了解。んじゃ、行って来るぜ」(去る)
カルテリア:「ラジャーっ。また後でね!」(去る)
ユアン:「それじゃ、僕も・・・」
スレイヴ:「ユアン、ちょっと待て」
ユアン:「?」
スレイヴ:「お前さんには別の用件を頼む」
ユアン:「別の?」
スレイヴ:「あぁ、お前は直接ナグラーダ嬢の所に向かってくれ」
≪共和国中心部≫
ナグラーダ:「今の爆発は一体なんです。 状況を報告しなさい」
兵士:「は。何者かによって一部結界が破壊され、そこから多数の魔物が入り込んでいます」
ナグラーダ:「兵の動きは」
兵士:「街の混乱により情報の伝達が遅れ、
未だ、まともに身動きが取れない状況であります」
ナグラーダ:「何をやっている! 民の命を守る事が最優先でしょう。
早急に足場を固め陣形を整え、民の救助及び魔物の排除を行ないなさい」
兵士:「御意っ」(去る)
マクタバ:「フロイデ宰相、拙者も戦地へ出向きましょう」
ナグラーダ:「いえ、マクタバ将軍は彼の元へ向かって欲しい」
マクタバ:「彼、というと・・・。ふむ、成る程 承った。
早急に支援要請をして参りましょう」
ナグラーダ:「お願いします」
マクタバ:「それでは、失礼する」(去る)
ナグラーダ:「・・・。(少し間を置いて)
どうやらネズミの侵入を許してしまったようね」
オルフィス:「なるほど、気配の察知能力は悪くはない」
ナグラーダ:「この騒ぎの犯人は貴方達かしら」
オルフィス:「ふふっ、勘も良いみたいだ」
ナグラーダ:「・・・・・・・・」
オルフィス:「怒らせてしまったかな、宰相殿は真面目だね」
ナグラーダ:「分かっているのなら、無駄話はやめて対話をしなさい」
オルフィス:「いやだ、と言ったら?」
ナグラーダ:「・・・・」
オルフィス:「ははっ、冗談だよ」
ナグラーダ:「目的はなに」
オルフィス:「何だと思う?」
ナグラーダ:「質問に質問で返すのは無礼でしょう」
オルフィス:「ふふ、ははははっ」
ナグラーダ:「何故笑っている、トチ狂ったか」
オルフィス:「くく、来たよ」
ナグラーダ:「ん?」
(走ってくる)
ユアン:「フロイデ宰相っ!」
ナグラーダ:「貴殿は・・・」
ユアン:「(近くまで寄る)お怪我はありませんか?」
ナグラーダ:「あ、あぁ。私は無事よ」
オルフィス:「ユアン、久し振りだね」
ユアン:「・・・っ! オルフィス。何故此処に」
ナグラーダ:「知り合いなの?」
ユアン:「・・・・」
オルフィス:「宰相殿、腐れ縁って奴だよ」
ナグラーダ:「なに?」
オルフィス:「それより、ユアンの質問に答えていなかったね。
俺はキミに会いに来たんだよ」
ユアン:「冗談言える人だったっけ」
オルフィス:「ははっ、確かに昔はそうだったかも知れない。
本当は、キミの腕が鈍ってないか確認しにきたんだ・・・」
ユアン:「フロイデ宰相、下がっていてください」
ナグラーダ:「分かったわ」
オルフィス:「ふっ、はぁあ!」(上段蹴り)
ユアン:「ぐっ」(腕でガード)
オルフィス:「成る程。じゃ、これは? はぁっ!」(回し蹴り)
ユアン:「っ! (一度避ける)」
オルフィス:「(食い気味)まだ終わってないよ、せいっ!」(拳の突き)
ユアン:「がはっ、げほごほっ・・・」
オルフィス:「鈍ってるね。防御のみでの応戦、
しかもそれですら完全でない。
相変わらず平和主義を気取ってるんだね」
ユアン:「くっ」
オルフィス:「・・・(つまらなそうな顔)
キミの腕を確認しに来たってのも冗談」
ユアン:「・・・・」
オルフィス:「再会の記念に、一つだけ良い事を教えてあげるよ。
これからね、面白い事が起きるんだ」
ユアン:「面白い事? 何を、企んで」
オルフィス:「俺は何も企んでないよ。強いて言うならば、
変化なるモノの行く末を楽しんでいる達観者、とでも言っておこうか」
ナグラーダ:「変化なるモノ?」
ユアン:「何が起きてるんだ・・・」
オルフィス:「俺に、その質問に答える義務は無い」
ユアン:「なら、喋ってもらうまで」
オルフィス:「キミにそれが出来るのかい」
ユアン:「正直、貴方に傷を負わせられる事が出来るかも定かではないよ。
だけど、やって見る価値はあると思う」
オルフィス:「ふふっ、目付きが変わったね。以前と比べたらか弱いけど」
ユアン:「・・・」
ナグラーダ:「大丈夫なの?」
ユアン:「自信はないですけど、やってみます」
オルフィス:「いつでも良いよ」
ユアン:「はぁああ、てやっ!」(拳の突き)
オルフィス:「真っ直ぐ、そして単純だ、ふっ(腕で流す)」
ユアン:「流されたっ」
オルフィス:「ほら、隙だらけだよ?」
ユアン:「く」
オルフィス:「遅いっ(そのまま腕を掴む)」
ユアン:「しまっ」
オルフィス:「(食い気味)これで正面が
お留守になる、せいっ」(空いた片方の腕で拳の突き)
ユアン:「ふっ(避ける)」
オルフィス:「っ!」
ユアン:「はぁぁあ!!」(避けた勢いで回し蹴り)
オルフィス:「っと(後方に飛ぶ)
避けた反動を加速に使って、そのまま足技に運んだまでは良かった。
けど、つまらない。これじゃただの組み手と一緒・・・、ん?」
ナグラーダ:「え、今の一瞬で・・・反撃を・・・?」
オルフィス:「・・・・(頬に付いた傷を撫でながら)
へぇ~、成る程。手加減してたとは言え。
俺に傷をつけられるくらいには落ちぶれてないって事か」
ユアン:「喋る気になった?」
オルフィス:「俺が人に指図されるの一番嫌いって知ってるよね?」
ユアン:「っ!」
オルフィス:「気が変わった、あの時みたいに全員殺してしまおうか」
ナグラーダ(M):「視線がこちらに向いた?」
ユアン:「そんな事は、させない」
オルフィス:「今のキミに、言葉通りの力は・・・」(走り出す)
ユアン:「危ない!」(飛び込む)
(上空から現れる)
オルフィス:「存在しないっ」
謎の男:「っ」(着地)
オルフィス:「はっぁ!」(蹴り技を入れる)
謎の男:「ふっ」(刀で防ぐ)
オルフィス:「っ!? っと。(後方へ飛ぶ)
へぇ、この攻撃を防ぐ人がいるんだ」
ナグラーダ(M):「あれは、誰だ・・・?」
ユアン:「フロイデ宰相、お怪我は」
ナグラーダ:「平気よ、それより・・・」
謎の男:「・・・・っ」(刀を構え睨み付ける)
オルフィス:「その刀先を俺に向けてどうするの?」(相手を睨み付ける)
謎の男:「・・・」
オルフィス:「何処の誰だか知らないけど、
正当な勝負に横槍入れてくるなんて
随分マナーがなってないんじゃない?」
謎の男:「・・・・」(刀を向けたまま)
オルフィス:「ふふっ、黙ってやり過ごそうと思ってる?」
謎の男:「刻まれたくなければ、この地から立ち去れ」
オルフィス:「やっと喋ったと思ったらそれかい? 俺がその言葉に従う理由は?」
謎の男:「・・・・・」
オルフィス:「・・・その態度気に入らない、俺の大嫌いなタイプだよ、キミ」(構える)
謎の男:「受けて立つ」(構える)
【爆発】
ナグラーダ:「な、爆発!?」
オルフィス:「チッ、これからだって時にタイミング悪いね」
ユアン:「っ・・・二発目? 何の意図が」
オルフィス:「意図? そんなもの考えても無駄だよ」
ユアン:「え?」
ナグラーダ:「も、もう一度問う。目的は何?」
オルフィス:「宰相殿、それは俺が答えるべき質問じゃない。
貴方が直接、導き出すものだ」
ナグラーダ:「どういう・・・」
オルフィス:「それじゃ、俺は用件を済ましたから退散するよ。
・・・ユアン」
ユアン:「・・・っ」
オルフィス:「また会う機会は何れ来る。その時も今の状態のままだったら
次こそは、殺してしまうから。ふふっ。。
精々足掻いて見せてよ。それじゃ、さよなら」(飛び降りる)
ナグラーダ:「ま、待てっ!」
謎の男:「追うのは私が。事態の収束を」
ナグラーダ:「貴方は、何者・・・」
謎の男:「・・・」
ナグラーダ:「この高さから飛び降りたらっ!」
謎の男:「・・・っ」(飛び降りる)
ユアン:「っ・・・(見下げる)
きえ・・・た?」
ナグラーダ:「どうなっているんだ」(少し動揺した様子で)
ユアン(M):「さっきの二発目の攻撃、街の様子が気になる」
ナグラーダ:「一体何が、どうして襲撃を受けている?
戦争が? いや、そんな事ある筈が・・・っ」(少し動揺した様子で)
ユアン(M)「・・・・(宰相の様子を伺う)
随分混乱しているみたいだ・・・
宰相には一度冷静になって貰わないと」
ユアン:「・・・(深呼吸)フロイデ宰相」
ナグラーダ:「な、何だ」
ユアン:「申し遅れました。僕は蒼穹の燕(エンペリアン シュヴァルベ)所属
ユアン=イグニスと申します。
団長スレイヴ=グローリアの命令により、直接指示を仰ぎに参りました。
先ほど、二度目の襲撃があり、事態はより悪い方へと向かっています。
今は早急な判断と指示が必要な時。どうか心を静めてください」
ナグラーダ:「す、すまない。少し動揺していたわ」
ユアン:「いえ、大丈夫です」
ナグラーダ:「ぎ、ギルドの動きは?」
ユアン:「一度目の爆発直後から、民間人の保護を最優先に行動を開始。
魔物の侵入している可能性も考え、
爆発地域及びその周辺の捜索に向かっております。
仲間の情報では、他のギルドも同等な行動を取っているようです」
ナグラーダ:「・・・(深く深呼吸)
分かった、ならばユアン殿に伝令を任せても良いかしら」
ユアン:「はい」
ナグラーダ:「ギルド協会所属、西(デュシス)の蒼穹の燕(エンペリアン シュヴァルベ)
及び、北(シャマール)の氷山の熊(イスベルグ アルクトス)は
一度目の爆発地域をそのまま継続して担当。
二度目の爆発地域には東(シャルク)の荒野の猟犬(デシエルト ケイヴツァイド)
及び、南(ノトス)の大洋の鯱(オセアーノ エポラール)
を直ちに調査に向かわせなさい」
ユアン:「フロイデ宰相はどうなさるんですか?」
ナグラーダ:「私の心配はいらないわ、ピルカの加護があるから。
それに、マクタバ将軍も直に帰ってくる」
ユアン:「分かりました。僕はこれから伝令に向かいます」
ナグラーダ:「ユアン殿」
ユアン:「はい」
ナグラーダ:「助けられたわね、感謝するわ」
ユアン:「いえ、それでは失礼します」(去る)
ナグラーダ:「・・・・」
≪一度目爆発現場≫
トゥライト:「おりゃぁあ!(薙ぎ払い)っと・・・。
ふぃ、リーダーこっちはOKだ」
スレイヴ:「よし、粗方片付いたな」
カルテリア:「おいしょっと、こっちも完了だよ!」
スレイヴ:「了解だ、後は結界の修復が終わるまで保てば良し」
カルテリア:「ねぇねぇ、リーダー」
スレイヴ:「ん、どうした」
カルテリア:「さっきからユアンの姿が見えないけど、どしたの?」
トゥライト:「そういやぁ、見ねぇな」
スレイヴ:「あいつには、別の用件を頼んだ」
カルテリア:「別の?」
スレイヴ:「あぁ。順調に事が進んでりゃ、そろそろ来る頃だ」
ユアン:「お待たせ」(上空から)
トゥライト:「おっ、噂をすりゃって奴か」
(屋根から飛び降りてくる)
ユアン:「っと」(着地)
カルテリア:「ユアンおかえり~」
ユアン:「ただいま、待たせちゃってごめんね」
カルテリア:「ううん、全然楽勝だったから良いんだけどさ」
ユアン:「なら、よかった」
カルテリア:「あれ。ユアン、怪我してるけど大丈夫?」
トゥライト:「怪我? 珍しい事もあんだな」
ユアン:「そう、かな。大した事無いから平気だよ」
スレイヴ:「それより、どうだった? 指示は仰げたか」
ユアン:「うん、僕たちと、北(シャマール)の熊(アルクトス)は現状維持。
東(シャルク)の猟犬(ケィヴツァイド)と、南(ノトス)の鯱(エポラール)は
二度目の爆発地域の調査を優先」
スレイヴ:「わかった。カルテリア、今の話聞いてたな?」
カルテリア:「おっけー!」
スレイヴ:「ギルド協会総督、ナグラーダ嬢の命令だ。
急ぎで各ギルドの大将に伝令を頼む」
カルテリア:「りょーかい! 行って来ま~す。 よっと!」(屋根の上に飛び上がって去る)
スレイヴ:「これで、戦力の分担に文句は出ねぇだろ」
トゥライト:「どういうこった?」
スレイヴ:「仮に、俺が東(シャルク)の大将にあっち行ってくれ、
って頼んだ所で聞く耳持つ分け無いだろ?
だったら最初から総督権限を持って話を進めた方が、簡単に用は済むってこった」
トゥライト:「はぁ~ん」
スレイヴ:「ユアン、宮殿内と近辺の様子はどうだった?」
ユアン:「僕がフロイデ宰相の所に着いた時は、殆どの兵士は出払っていたよ」
スレイヴ:「マクタバ将軍は」
ユアン:「いなかった。けどピルカの気配が近くでしていたから、
警護は任せていたんじゃないかな」
スレイヴ:「なるほどな、状況は把握した」
トゥライト:「そんで?、俺らは現状維持で良いんだっけか」
スレイヴ:「あぁ、任せたぞオールラウンダー」
トゥライト:「おう、俺がいれば百人力だぜ! 後は任せろっ!」
スレイヴ:「ははっ、頼もしい奴だ」
ユアン:「うん」
スレイヴ:「ところで、ユアン」
ユアン:「なに?」
スレイヴ:「後で詳しい話を聞かせろよ」
ユアン:「え」
スレイヴ:「あの単純な命令で、お前が怪我して帰ってくるとなりゃ、
只事じゃないくらい分かる」
ユアン:「・・・っ」
スレイヴ:「いいな?」
ユアン:「わかった」
ナグラーダ(M):「突如現れた襲撃者と謎の男。
そして・・・我が国を襲った理由は一体」
カルテリア:「次回『Histoire of Eternto(イストワール オブ エテルノ)』
第4話 模索」
マクタバ:「建国以来、経験したことの無い大惨事とは言え。
我々が此処まで動けぬとは」
ナグラーダ:「我が国の在り方を、今一度考え直すべき時が来たようね」
マクタバ:「仰る通りかと」
to be continued...?
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