・・イストワール オブ エテルノ・・
『Histoire of Eternto』
第2話 追求≪登場人物≫
サイアス=ロクスウェル♂(17):屈託無い自由気ままな冒険初心者。
主要武器は槍。
ラキア=コンラート♀(28):見た目は温厚、中身は真面目で厳しい魔法使い。
主要武器は杖。
シエル=ローレット♂(24):やや口は悪いが率直で明るい剣士。
主要武器は魔法剣。
デュラハン=アーヴァンク♂(27):真面目すぎず物腰が柔らかい優男代表の剣士。
主要武器は刀剣。
アーシア♀(17):明るく優しい。少々お転婆な所があって天然。
ゲーエン♂(48):聖都の宰相。威厳在りしも、物事に柔軟に捉える。
コモラ(不問・不明):聖都に住む守護獣。悪戯好きで甘えん坊。鳥類の姿を模している。
≪配役表≫ (4:2:1)
サイアス♂:
シエル♂:
デュラハン♂:
ゲーエン♂:
ラキア♀:
アーシア♀:
コモラ(不問):
0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0--0---0----
コモラ(M):『女神の恩恵の中で繁栄と成長を続ける人々は、
信仰と崇めつつ、いつしかそれが己の生の全て、
執着へと変わっていく』
≪大聖堂テラス≫
アーシア:「どう、何か感じる?」
コモラ:『ん~、この前の爆発の時と一緒だよ。
懐かしい気配が増えた感じはする』
アーシア:「先日の女神様の御言葉、貴方はどう捕らえる?」
コモラ:『ボク? そうだなぁ、言葉以外の他意は無いと思うよ』
アーシア:「・・・」
コモラ:『何か気になることでもあった?』
アーシア:「ううん、大丈夫。ねぇコモラ」
コモラ:『な~に?』
アーシア:「会いたい人がいるの。連れてってもらえる?」
コモラ:『僕は良いけど他の人に怒られるんじゃない』
アーシア:「大丈夫、そんなに遠くには行かないから」
コモラ:『本当に?』
アーシア:「えぇ、半分お仕事の様なものだから」
コモラ:『それなら仕方ないかぁ、それじゃ僕の背中に乗って』
アーシア:「有難う。戻ってきたら貴方の大好物をあげる」
コモラ:『やったぁ~♪ それじゃ行こうか!』
アーシア:「うん、宜しくね」
コモラ:『レッツゴー!』
アーシア(M):「それは時として人々に対する脅威にも成り得る。
そして、その定められた運命に・・・誰も抗えない」
シエル:「『Histoire of Eternto(イストワール オブ エテルノ)』第2話 追求」
≪会議室≫
ゲーエン:「ラキア殿、先日の爆破事件。解決の意図は掴めましたか?」
ラキア:「いいえ、恐れながら」
ゲーエン:「その後、聖騎士団の動きはどうなっていますか?」
ラキア:「破壊地域及び周辺地域への厳戒態勢を強いております。
現状、その後の変化は御座いません」
ゲーエン:「ふむ。しかし、何故このような事が」
ラキア:「惜しくも、幹部数人が抜けている隙を狙って来ています」
ゲーエン:「愉快犯、若しくは計画的犯行。
どちらにしても、やる事が余りに非道ですね」
ラキア:「これは、推測でしか在りませんが、計画的犯行である可能性が高いかと」
ゲーエン:「・・・もし、同じようなことが二度起きれば
市民からの信用に関わります」
ラキア:「心得ております」
ゲーエン:「我がルミナシアは創立当初から中立の立場を保ってきた。
それが今になって、暗雲を呼び寄せてくるとは・・・。
事と次第によっては軍事問題になりかねません」
ラキア:「えぇ、その事なのですが」
ゲーエン:「ん、何か?」
ラキア:「既に心当たりがあってのお言葉のようですね」
ゲーエン:「えぇ。仮に計画的犯行だとしても、結界を破壊する程の兵器を
一介の組織が用意出来るとは到底思えませんからね」
ラキア:「お察しの通り、この事件に直接関わった人物と
接触する事が出来ましたので
重要参考人として聖騎士団屯所で身柄を確保しております」
ゲーエン:「何か有益な情報が聞き出せたのですか?」
ラキア:「はい。屯所付近での攻防戦以前に怪しい人物と接触したとか」
ゲーエン:「ほう・・・」
ラキア:「その人物は、”獅子の紋章”を身に着けていたそうです」
ゲーエン:「・・・っ」
≪聖騎士団屯所≫
デュラハン:「サイアス=ロクスウェル、
王国シルヴェスタ、森林都市ナーシェン地方トリス村出身。
17歳、男性。職業は冒険者(バックパッカー)
一応、こちらへの入国は一週間前に済ませてあるんですね」
サイアス:「そうだけど」(不服そうに)
デュラハン:「どうしました? 元気ないですが」
サイアス:「なぁ、いつまで此処に居ればいいんだよ」
デュラハン:「ん~、そうですね。幹部からお許しが出ればスグに」
サイアス:「それっていつ?」
デュラハン:「さて、いつでしょうね」
サイアス:「はぁ~。俺、悪いことしたつもりは無いんだけどなぁ」
デュラハン:「仕方ないです。キミは重要参考人なんですから」
サイアス:「重要、ね。こっちからしたら完全に巻き込まれただけなんだけど」
デュラハン:「はは、ご愁傷様です」
サイアス:「うぅ・・・。黒尽くめで、双刃刀を持った怪しい男か。
あの時は油断してたけど、出来るならもう一回手合わせしたいなぁ」
デュラハン:「腕に自信がおありのようで?」
サイアス:「自信があるって訳じゃないけど、強い人には興味あるかな。
ラングフォード隊長、だっけ。あの人も強いんだろ?」
デュラハン:「あぁ、キミを巻き込んだ犯人か」
サイアス:「そうそう」
デュラハン:「彼女は確かに強いですが、手合わせはやめた方がいいですよ」
サイアス:「なんで?」
デュラハン:「色々な意味で手加減しませんから、あの人」
サイアス:「そう、なんだ。でもいずれはって言う希望も含めて」
デュラハン:「もしその時が来たら、私は見学でもさせて貰いましょうかね」
サイアス:「あぁ! て言っても、アンタも強そうだよな」
デュラハン:「私ですか? そうでも無いですよ」(苦笑)
サイアス:「聖騎士団での地位ってどの辺りなんだ?
ラングフォードって人よりも上?」
デュラハン:「ははっ、肩書きだけでは」
サイアス:「何だよ、もったいぶるなよ」
デュラハン:「そうですね、自己紹介がまだでしたからついでに。
私はデュラハン=アーヴァンク。聖都シュティレーゼ直属、
聖騎士団クレスティアシュトルツの副団長を任されています」
サイアス:「え・・・って事は?」
デュラハン:「聖騎士団で二番目に偉い人って事ですね」
サイアス:「・・・」
デュラハン:「ついでに言いますと、先日ラングフォードと別で会った女性の方は」
サイアス:「いやな予感が・・・」
デュラハン:「我がルミナシアが誇る、大司教(アークビショップ)、
ラキア=コンラート様ですよ」
サイアス:「なぁああああああああああ!!??」
デュラハン:「お、予想通りの反応。見てて飽きないですね」
サイアス:「俺、死刑決定かな・・・」
デュラハン:「まぁまぁ、落ち着きなさいって」(面白そうになだめる)
(ノック音)
デュラハン:「はい」
アーシア:「アーシアです。入っても大丈夫ですか?」
デュラハン:「どうぞ、お入り下さい」
アーシア:「失礼します」
サイアス:「ん?」
デュラハン:「おや、従者の方は・・・」
アーシア:「こ、こほん(咳払い)あ、今日はコモラと一緒なので」
デュラハン:「なるほど、理解しました。御用は何でしょうか?」
アーシア:「はい、先日の事件に関わったという方に直接お会いしたくて」
サイアス:「え、俺?」
アーシア:「貴方が。はじめまして、アーシアと申します」
サイアス:「えっと、俺はサイアス」
アーシア:「サイアスさん、ですね。コモラ、この方で合ってる?」
コモラ:『よっと(姿を現す)』
サイアス:「うわっ!?」
コモラ:『うん。合ってるよ、懐かしい気配がする』
アーシア:「よかった」
サイアス:「で、でででデッカイ鳥が急に現れっ!?
え、どういうこと!?」
コモラ:『はははっ、変な人間! ガオーっ食べちゃうぞぉ』
サイアス:「あ、頭に直接言葉がっ、え!? はっ?」
アーシア:「ふふっ」
デュラハン:「キミにはコモラが見えるんですね」
サイアス:「え、副団長は・・・」
デュラハン:「私の事は愛称でデュランとでも呼んでください」
サイアス:「わ、分かった。デュランさんは・・・」
デュラハン:「残念な事に、私には見えないんですよ。
無論、気配は感じることは出来ますが」
アーシア:「コモラは聖都に住む守護獣で
その姿は選ばれし者にしか見えないんです」
サイアス:「へ、へぇ~・・・」
アーシア:「サイアスさん」
サイアス:「ん?」
アーシア:「突然で申し訳ないんですが、
貴方の手持ちの武器を拝見させて頂いてよろしいですか?」
デュラハン:「あぁ、彼の荷物はこちらで預かっています。
今取りに行きますので少々お待ち頂いても?」
アーシア:「はい」
デュラハン:「それでは行って来ます」(去る)
≪会議室≫
(ノック音とお供に入室)
シエル:「ラキア、俺だ入るぞ」
ラキア:「どうぞ、お入り下さい」
シエル:「ゲーエン殿、お疲れさまです」
ゲーエン:「あぁ、それよりも」
シエル:「えぇ、粗方話は聞いていますよ」
ラキア:「以前ローレット殿に同行した調査の結果に加え
ヴァーゴ殿の報告、重要参考人による情報が本当だとすれば
これから忙しくなりますよ」
シエル:「”獅子の紋章”に関しては俺とゲーエン殿で出向いて
事実確認をすればいい話だが・・・」
ゲーエン:「シエル殿、我々が今すぐに行動を起こすには
少々危険すぎませんか」
シエル:「そうか?」
ラキア:「私も同感です。不確定要素が多すぎます」
ゲーエン:「それに、相手側の策略の可能性もありますよ」
シエル:「んじゃ、『貴方達が犯人ですか?
誤解だったら、証明できるものを寄越してください。』
って書状でもだすのか?」
ゲーエン:「それも、相手の出方次第では、読み取れる事もありましょう」
シエル:「ん~、まぁ取り敢えずこの件は置いとこう」
ラキア:「分かりました」
シエル「それで、クラヴィスの話だと姫さんが神託を受けたって?」
ラキア:「はい、近々不穏な動きがあると。
ご本人も動き出すことに誠意を出している様子」
シエル:「動き出すって?」
ラキア:「女神の心、我々の希望の光を解放することです」
ゲーエン:「天地戦争と女神の制約ですね」
シエル:「なるほど、神具の解放って事か。確かに前調査での異常は、
近年稀に見る魔物の大量発生、としか読み取れないが
伝説の武器まで出すような事態なのか」
ラキア:「その異常が、いずれ来る災厄の前兆では無いかと」
シエル:「姫様が?」
ラキア:「はい、そうおっしゃっていました」
ゲーエン:「我々が思っている以上に・・・事は急を要す、ですか」
ラキア:「はい。神託こそが、我々の過去であり、現在、未来でもあります」
シエル:「深刻だな・・・。それで、女神様の意志通りに動くとして。
俺らはどうしたらいいんだ?」
ラキア:「女神の制約。即ち、来るべき日以外に力が振るわれぬよう
神具の最初の持ち主によって、力を封印されています」
シエル:「なるほど、分かったぞ。力の解放は姫さんが担い手だって事だろ」
ラキア:「そうです」
ゲーエン:「しかし、我々が認知、保管している神具は2本、
それ以外の行方は分かっていません」
シエル:「確かにな」
ゲーエン:「それに、伝説による選ばれし人間という方々は
どうやって見つけ出すおつもりですか?」
ラキア:「容易い事です」
シエル:「は?」
ラキア:「守護獣、彼らが見える者こそが資格を持つものです」
ゲーエン:「これはまた、ラキア殿にしては珍しく途方も無い話を」
ラキア:「それは違います。資格を持つ者は彼らによって選定され、
更にその者達は神具と引き合う関係にあります」
ゲーエン:「選定された人物の近くに、云わずとも神具の存在があると?」
ラキア:「はい」
シエル:「ってことは、なんだ。コモラに探させれば一件落着って事か」
ラキア:「簡略すればそう言うことです」
ゲーエン:「コモラは聖都の守護獣。行動範囲は限られているのでは」
ラキア:「ですから、ルミナシアという中立の立場を利用するのです」
ゲーエン:「なるほど。口実、というわけでも在りませんが
表沙汰にする事なく詮索は出来ますね」
ラキア:「はい。近々、各国の幹部に召集をかけ
議会の場を作ろうと思います」
ゲーエン:「分かりました。教皇様への伝達は私からしておきましょう」
ラキア:「お願い致します」
シエル:「こりゃ、忙しくなるな。
暫くの間はギルドに協力してもらうしか無いか」
ラキア:「それが得策かと。、聖騎士団の過半数が遠征に出ていますから
事実上の人員不足は否めません」
シエル:「んだな。それで、話を大分戻すが」
ラキア:「何でしょう?」
シエル:「神具を開放した後は、具体的にはどうなる」
ゲーエン:「随分と話を戻されましたが。
私もその点は気になっています」
ラキア:「それは、女神ヴァレスティア様の復活。
彼女によって、アルシャディアの平和と恩恵がもたらされるのです」
≪聖騎士団屯所≫
アーシア:「・・・・」
サイアス:「えっと」(沈黙に耐えられず)
アーシア:「?」
サイアス:「それで、用件って?」
アーシア:「そう、ですよね。まずはこのお話を聞いて頂かないと」
サイアス:「話?」
アーシア:「遥か昔、邪悪な力によって荒れ果てた時代、
一人の女神がこの地に降り立った」
サイアス:「その女神ってヴァレスティア、だろ?」
アーシア:「はい、女神は自らの心を八つの武器に宿し、
闇と戦うすべを人々に分け与えることによって
世界に平和をもたらすのであった。
・・・この話はご存知ですよね」
サイアス:「天地戦争と女神の制約」
アーシア:「そうです、人々はそれを神具と呼び、
女神と供に信仰の対象として崇めた。
しかし2000年という長き年月が経ち、
犇く(ひしめく)邪悪なる力が再び、
災厄として訪れようとしています」
サイアス:「それと、俺に何か関係が?」
コモラ:『全く鈍いなぁー、このお兄さん』
サイアス:「はぁ?」
コモラ:『お兄さんに、その資格があるって事だよ』
サイアス:「俺がっ!?」
アーシア:「そうです。コモラは選ばれし者を選定する能力が備わっています。
ですから、サイアスさんもその一人と云う事ですね」
デュラハン:「お話中失礼します。
お待たせしました。この槍ですか?」
サイアス:「あ、それそれ!」
コモラ:『あ~♪ 懐かしい気配』
アーシア:「その武器、少し借りても良いですか?」
サイアス:「あ、あぁ。はい」(渡す)
アーシア:「ありがとうございます」(受け取る)
デュラハン:「この槍は一体・・・?」
サイアス:「実は、俺も余りわかってないんだよね!」
デュラハン:「そうですか(苦笑)」
アーシア:「この気配は・・・」
コモラ:『うん、間違いない! 感じるよ、イーリオスだ』
アーシア:「聖槍イーリオス。
・・・サイアスさん、この槍を何処で?」
サイアス:「兄貴から譲り受けた物だから、出所は知らないんだ」
アーシア:「お兄様、ですか?」
サイアス:「ヨハン=ロクスウェルって言うんだけど知らないか?」
アーシア:「・・・えっ」
デュラハン:「・・・っ」
サイアス:「昔、聖都で働いてたことがあるって聞いたけど・・・
ってあれ、二人共どうしたんだ?」
デュラハン:「あ、いや。何でも無いですよ」
サイアス:「そっか? んで、この武器。聖槍イーリオスって結局なんだ?」
コモラ:『・・・このお兄さん、馬鹿だよね』
サイアス:「ちょ、馬鹿とか言うな!」
アーシア:「この武器は、女神さまから与えられた八つの神具の一つです」
サイアス:「へっ!?」
デュラハン:「これは大変な事になりましたね」
アーシア:「サイアスさん、改めて紹介させて下さい。
私はアーシア=ミュトス=レゲンダ、
聖都シュティレーゼの皇女であり
女神ヴァレスティア様より神託を受けし聖女です」
サイアス:「なんか、もう驚くことに色々慣れてきた・・・」(ボソ)
アーシア:「よろしければ王宮へ一緒に来て頂けませんか?」
コモラ(M):『友情と意志の聖槍イーリオス、やっと巡り合う事が出来たね』
デュラハン:「次回『『Histoire of Eternto(イストワール オブ エテルノ)』
第3話 蒼穹の燕(エンペリアン シュヴァルベ)」
ゲーエン:「周囲の変化、これから起こり得る災厄・・・ですか」
シエル:「こりゃ、忙しくなりそうだ」
to be continued...?
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