・・イストワール オブ エテルノ・・
『Histoire of Eternto』
第9話 求める心≪登場人物≫
エーレ=テナークス♂(26):女性受けの良いナイスガイ(笑)
年下には兄貴肌で面倒見の良く、
年上には甘え上手。
口調は誰よりも軽くいつもお茶らけている。
自由と冒険をこよなく愛する弓使い。
主要武器は弓。
ツェッカ=♀(??):小さな妖精。普段はお茶目で可愛らしいが、
少し心配性な所があり、だらしないエーレに
文句ばかり言っている。
ルチオ=カサモラータ♂(25):誠実、真面目さが滲み出ていて
好印象な外見だが、実は野心家。
物事に対してややニヒルで
シ二カルな一面もある。
少し変わり者で得意分野に関しては
マシンガントークになる。
ヴァイゼ=アルデイリム♀(30):真面目だがユーモアも持ち合わせている
エペイストリベルテ騎士団団長。
とある理由からルチオとは
反りが合わないようだ。主要武器:レイピア。
ソルシェ=スルール♀(53):心優しくもあり母のように強き心を持った現女王。
国民と共に国を良くしようと、直接声を聞いたりと
民と最も近しいお人。
ポラリス=ノエズ♂(20):少し落ち着きに掛けるがセグレートの兄貴分。
優しい面影でひょろっとしている。
魔学研究機関ヴァールハイトハルク魔学研究者、
ルチオの助手。魔法使い。
チェレネ♂(??):王都に住む守護獣。性格は大人しく慈愛に満ち溢れている。
白馬の姿を模している。
≪配役表≫ (4:3)
エーレ♂:
ツェッカ♀:
ルチオ♂:
ソルシェ♀:
ポラリス♂:
チェレネ♂:
ヴァイゼ♀:
0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0--0---0----
≪空中都市ソミュア・研究機関内≫
(走ってくる)
ポラリス:「はぁ、はぁ・・・!
せ、先生! ルチオ先生!」
ルチオ:「騒がしいですよ。
室内は走らないようにと言いましたよね」
ポラリス:「す、すいません。急いでいたので・・・」
ルチオ:「それで、どうかしましたか?」
ポラリス:「はぁ・・・至急、(唾を飲む)
王都エンジールにお集まり下さい!」
ルチオ:「エンジールに?」
ポラリス:「女王陛下からのお呼び出しです」
ルチオ:「・・・先日の地震と何か関係が?」
ポラリス:「恐らく。・・・ふぅ(息を整える)」
ルチオ:「分かりました。準備を手伝って下さい」
ポラリス:「は、はい」
ルチオ:「ところで、ポラリス」
ポラリス:「な、なんでしょう」
ルチオ:「少し運動不足のようですが」
ポラリス:「うっ」
ルチオ:「助手として尽くしてくれる君の姿勢には
大変感激してますし
助けられてばかりだとは思っていますよ。
ですが、老婆心ながら
少しは健康にも気を使ったほうが
誰より自分の為になるのではないでしょうか」
ポラリス:「うぐぐいや・・・」
ルチオ:「あぁそれと、迂闊なタイミングで
体を壊されるようなことがあっては、
延いては今後の研究にも支障が
出るかもしれません。
そうなると私の生活にも
退っ引きならない影響が・・・」(微笑)
ポラリス:「わ、分かりましたから!
とにかく今は急いで下さい!」
≪王都エンジール≫
エーレ:「くぅううう!(伸びをする)
やっ~と着いた。はぁ」
ツェッカ:『馬車に揺られて丸一日。
気疲れしちゃったわ』
エーレ:「宙に浮いてるのにか?」
ツェッカ:『気持ちの問題気持ちの問題』
エーレ:「へぇ~。ここが王都エンジールか。
成る程、馬車のおっさんが言ってた通りだ。
美女ぞろいだなぁ」
ツェッカ:『もう、そればっかりなんだから!』
エーレ:「気持ちの問題だよ、気持ちの問題」
ツェッカ:『むっ(膨れる)
それで、王都まで来たけどどうするつもり?』
エーレ:「そうだな。ツェッカ」
ツェッカ:『なに?』
エーレ:「守護獣の気配を辿ることって
出来るか?」
ツェッカ:『ん~。何となく、なら』
エーレ:「よし、会いに行くぞ」
ツェッカ:『ちょ、ちょっと待って。
会いに行くって・・・』
エーレ:「これから向かう筈だった帝都の守護獣が死んだんだ。
頼みは他の奴しか居ないだろ?」
ツェッカ:『選定されしもの?』
エーレ:「あぁ。俺の記憶じゃ、守護獣と
選定されし人間=(イコール)神具の関係だろ?
だったら直接聞いた方が話しが早い」
ツェッカ:『それもそうだけど、
そう簡単に話してくれるかしら』
エーレ:「・・・やっぱりそう思う?」
ツェッカ:『守護獣は女神さまの使者、
語れる事はそう多くない筈よ。
あの方たちは運命の鎖に繋がれているから』
エーレ:「だよなぁ~。・・・っと言っても
今の俺達に他に選べる手段は無いし
ものは試しで行ってみるか。
それ以外の収穫もあるかもしれないからな」
ツェッカ:『う、うん』
エーレ:「それで・・・、
チェレネの気配はどこからする?」
ツェッカ:『あ、えっと・・・王宮の方から』
エーレ:「りょーかい。(王宮の方を見上げて)
さて、どうやって入るか」
ツェッカ:『そうね、私のおまじないなら
行けるかもしれないわ』
エーレ:「まじない? そんなモノも使えるんだな」
ツェッカ:『うん。このおまじないは、
一時的にエーレの姿を
周りから見えなくするものだけど・・・』
エーレ:「それって、普段から使えるんだったら
便利だよな~」
ツェッカ:『ただし、制約は多いから注意してね』
エーレ:「せ、制約?」
ツェッカ:『乱用しすぎると、
一生元に戻れなくなっちゃうのよ!』
エーレ:「お、おぅ。
・・・わかった、残念だ」
ポラリス:「『Histoire of Eternto(イストワール オブ エテルノ)』
第9話 求める心」
≪王都エンジール≫
ソルシェ:「そうですか、分かりました。
引き続き調査と報告をお願い致します」
ヴァイゼ:「畏まりました」
ソルシェ:「それと・・・」
ヴァイゼ:「はい、どうなされましたか」
ソルシェ:「彼女の行方は・・・」
ヴァイゼ:「申し訳御座いません。
手掛かりこそ在れ
未だ空を掴んでいる状態で・・・」
ソルシェ:「・・・」(少し不安げに)
チェレネ:『女王陛下、気を落とさないで下さい。
御心がある限り、
必ず此処に訪れる事になるでしょう』
ソルシェ:「そうですね。チェレネ、心遣い感謝します」
(扉が開き二名入ってくる)
ポラリス:「女王陛下、失礼致します!」
ソルシェ:「いらっしゃいましたね」
ヴァイゼ:「ルチオ殿、ポラリス殿。
お待ちしていました」
ルチオ:「女王陛下、
緊急の案件とお伺いして参上致しました」
ソルシェ:「突然呼び立ててしまい
申し訳ありません」
ルチオ:「いえ、陛下の命令あらば何時でも。
それで・・・ご用件はなんでしょうか」
ソルシェ:「ヴァイゼ、お願いします」
ヴァイゼ:「はい、では私から。
ルチオ殿、先日の地震をご存知か?」
ルチオ:「えぇ、ソミュアの方でも観測致しましたので」
ヴァイゼ:「それと時を同じくして、帝都が壊滅した」
ポラリス:「か、壊滅!?」
ルチオ:「ほう・・・」
ヴァイゼ:「帝都の守護獣であるニエンテの消滅も確認された。
今は帝国内には入り込めないようになっている」
ルチオ:「笑えない冗談ですね。守護獣が消滅・・・
そんな事がありえるのですか?」
ソルシェ:「残念ながら冗談ではありません。
同じ守護獣であるチェレネが言うのですから」
ルチオ:「成る程、それは中々興味深いお話ですね」
ヴァイゼ:「余り驚かれていない様子だな、ルチオ殿」
ルチオ:「何故、ですか?」
ヴァイゼ:「たとえ疎遠になった土地だとしても
貴殿からすれば唯一の故郷だ。
それを失ったにも関わらず、
そうも飄然としていられるとは・・・、
理解に苦しむ」
ポラリス:「ヴァ、ヴァイゼさんっ。
そんな言い方・・・」
ルチオ:「(食い気味)哀愁に浸る暇が無い程に、
私は多忙極まりないのですよ。
それではご納得頂けませんか?」
ヴァイゼ:「・・・くっ。
貴殿は故郷を思う心すら
持ち合わせては居ないのか」
ポラリス:「わわっ」(どうしよう、と慌てふためいている)
ルチオ:「勿論、あると思いますよ。
少なくとも、貴方が思っている以上には」
ソルシェ:「(食い気味)お二人とも、
その様な言い争いは慎みなさい」
ルチオ・ヴァイゼ:「・・・はっ」
ポラリス:「あ、えっと。帝国に入れないって事は
どういう状況になっているかも
掴めてないんですよね?」
ヴァイゼ:「その通りだ」
ルチオ:「これ程早く、第三勢力の存在が
明らかになってくるとは思いもしませんでしたが」
ポラリス:「備える間もなく、って感じですね」
ヴァイゼ:「今、下手に動いて
こちらの警戒の手を薄める訳にはいかない」
ソルシェ:「ですが、事が重大ですから。
私たちも早急に手を打たなければなりません」
ルチオ:「陛下、何かご提案があるのですね」
ソルシェ:「はい」
ルチオ:「・・・分かりました」
ソルシェ:「ルチオ。
これまで敢えて聞く事はしませんでしたが・・・
貴方の目にも
チェレネの姿は映っているのでしょう」
ルチオ:「・・・」
ポラリス:「せ、先生が・・・」
ソルシェ:「先日行なわれた円卓会議の内容を聞く限りでは、
貴方も選ばれし者。違いますか?」
ルチオ:「申し訳在りません陛下、仰るとおりです。
最も、その中の“一握り”であるかは別ですが」
チェレネ:『ルチオ殿。
貴方はまさにその一握り、選ばれし者なのです』
ルチオ:「私に何かみえますか?」
チェレネ:『はい、知恵と童心の聖魔導書ルアナ。
ご存知ですね』
ルチオ:「・・・っ」
チェレネ:『女神に与えられし神具の一つ『聖魔導書』 かつて
賢者ルアナが扱ったとされる伝説の魔導書です』
ルチオ:「勿論、知っていますよ。
ルアナは我がカサモラータ家に伝わる書物・・・」
(柱の物陰から姿を現す)
エーレ:「ひゅ~♪ 思わぬ収穫だ」
ツェッカ:『ちょ、ちょっとエーレ!』
ポラリス:「し、侵入者っ!?」
ヴァイゼ:「何者だ!
陛下、お下がりくださいっ」(剣を構える)
エーレ:「待て待てって!
怪しい奴じゃないって」(両手を挙げながら)
ヴァイゼ:「どうやって侵入したっ」
エーレ:「えっと~、妖精さんのおまじないで
ちょちょいっと身を隠しながら」
ヴァイゼ:「・・・む」
エーレ:「お、怒った顔も魅力的~!
だが、美人は笑顔の方が似合ってるぜ?」
ヴァイゼ:「なっ・・・!」
ツェッカ:『まったくっ!』
チェレネ:『・・・セアカルディアの妖精ですか』
ツェッカ:『は、はじめまして。
ツェッカと申します、守護獣チェレネ』
ソルシェ:「チェレネ、ご存知なのですか?」
チェレネ:『はい。
ですが・・・何故あなた方が此処に』
ルチオ:「訳在りのようですね。
お互い“何か”見えている様子」
エーレ:「そこのお兄さん話が早いね~」
ルチオ:「ですが、盗み聞きとは感心しませんね。
貴方の態度次第では厳罰も覚悟して頂かないと」
エーレ:「うぐっ」
ポラリス:「だ、誰か呼んできますか?」
ヴァイゼ:「まて、私がいるだろう。その必要は無い」
ポラリス:「あ、そうでした・・・。すいません」
ヴァイゼ:「・・・で、正体を明かして貰おうか」
エーレ:「え~、名前はエーレ=テナークス」
ツェッカ:『それだけじゃ信用して貰えないよ!
他には?』
エーレ:「他に? ん~・・・
あ。そ、そうだ」
ヴァイゼ:「どうした」(剣先を突きつけて)
エーレ:「これ、聖弓アリオーン。
こいつの持ち主・・・じゃだめか?」
全員:「っ!?」
ソルシェ:「それは本当ですか?」
エーレ:「勿論です、女王陛下。
ほら、これが聖弓・・・」(弓に手を掛けようとする)
ヴァイゼ:「(遮る)動くんじゃない」
エーレ:「へーい」
ソルシェ:「チェレネ、確認を」
チェレネ:『間違い在りません。
信頼と直感の聖弓アリオーンと選ばれし者です』
ソルシェ:「エーレ・・・といいましたね」
エーレ:「はい」
ソルシェ:「何を目的として此処へ?」
ツェッカ:『陛下、それについては私が説明します。
元々、私たちは守護獣の“力”を借りたくて、
帝国に、つまりニエンテの元に向かっていました』
ポラリス:「選ばれし者を選定する力・・・ですか?」
ツェッカ:『そうよ』
エーレ:「実は、ここにもう一つ。神具があるんだけどさ」
ソルシェ:「別の・・・神具が? チェレネ、どうです?」
チェレネ:『この気配は・・・誇りと真実の聖剣グランフェル』
エーレ:「ニエンテの方がダメだったんで、
白馬の守護獣チェレネを頼ろうと思って」
ルチオ:「なるほど。つまりアナタ達の目的は…」
ツェッカ:『聖剣グランフェルの適合者を探しだして、届けること』
エーレ:「それにしても、
ニエンテが消滅したとは聞いたけど・・・。
何か、不吉なことが起ころうとしているのは
間違いないか・・・」
ソルシェ:「・・・・いいでしょう、ヴァイゼ。
剣を下ろしてください」
ヴァイゼ:「はっ」(剣をしまう)
エーレ:「ふぃ~、危ない所だった(安堵の溜息)
美人さんにじっと見つめられるのも
悪くは無かったけどな」
ヴァイゼ:「貴様、刻まれたいらし・・・」
ポラリス:「お、落ち着いてくださいって!」
ヴァイゼ:「・・・」(睨み付ける)
エーレ:「おぉっと、やり過ぎたか」(苦笑)
ツェッカ:『もうエーレったら!』
ポラリス:「あぁ、えぇっと!!
少し話し戻しますけど、
先生も聖魔導書ルアナをお持ちなんですよね。
って事は、今確認出来ている神具は
三本って事ですか?」
ルチオ:「いえ、残念ながら。ルアナに関しては
カサモラータ家の所有するものですから
故郷を離れた私の手元にはありません」
ソルシェ:「では、所在は分かっているのですか?」
ルチオ:「はい。陛下はご存知の通り、
私は・・・元々帝国の生まれです。
恐らく、その生家に保管されてると思いますが」
エーレ:「今帝国って入れないんだろ?
どっちにしろ手詰まりって事か・・・。
どぉすっかなぁ・・・」
チェレネ:『エーレ=テナークス』
エーレ:「ん?」
チェレネ:『貴方は古き伝えを背負いしディムアルサ。
このアルシャディアで
それを果たす為に訪れたのですね?』
ポラリス:「古き伝え・・・?」
エーレ:「・・・まぁな。
他に託せる人間が居るわけでもないし
こっちに来て事態の深刻さも大体把握できた。
状況も状況だし、俺は前向きに考えてるよ」
チェレネ:『抗うことも出来た筈です、
それでも踏み入れると言うのですか』
エーレ:「それが、俺の往くべき道ならば
“流れ往くままに”ってな」
チェレネ:『・・・どのような運命(さだめ)も
受け入れる覚悟はありますね?』
ツェッカ:『エーレ・・・』
エーレ:「勿論、そのために俺は此処に居る」
チェレネ:『分かりました、では・・・』
ヴァイゼ:「ま、待て」
ソルシェ:「どうしました?」
ヴァイゼ:「陛下、話の腰を折ってしまって
申し訳御座いません。
ですが、私にはチェレネ殿の話が
今一理解が出来ません
この者達の正体は一体・・・?」
ポラリス:「確かに、聞いたことの無い
言語が出て来ましたね」
ツェッカ:『ぁ・・・』(何かに気付く)
ソルシェ:「チェレネ、その説明はして貰えるのですか?」
チェレネ:『いいえ、今は語るべき内容では御座いません』
ソルシェ:「“運命の鎖”ですか」
チェレネ:『はい』
ソルシェ:「分かりました。
時が来れば分かることですから。
ヴァイゼ、不安なのは分かりますが
今はその追求心を沈めておいて下さい」
ヴァイゼ:「はっ、畏まりました」
チェレネ:『では、話を続けさせて頂きます。
この先はルチオ殿も共に聞いてください』
ルチオ:「はい」
エーレ:「了解」
チェレネ:『この王都エンジールには。
代々、王家が管理してきた神具が存在します』
ツェッカ:『神具がもう一つ・・・!』
チェレネ:『それは勇気と誠実の聖爪アヴァルク。
女神に与えられし神具の一つ『聖爪』 かつて
拳聖アヴァルクが扱ったとされる伝説の鉤爪です』
エーレ:「それをどうしろって?」
チェレネ:『アヴァルクは既に選ばれし者が
分かっている神具です』
ヴァイゼ:「・・・っ! まさか」
ソルシェ:「察しのとおりです。
その人物は我が娘、エンジールの第一王女」
ルチオ:「・・・」
ポラリス:「王女様って、現在行方不明では」
ツェッカ:『え? 行方不明なの?』
ポラリス:「そうなんですよ」
ソルシェ:「生存確認は出来ているのですが
捜索隊との情報が上手く噛み合わず
明確な所在を掴めずにいるのです」
エーレ「俺に、その行方不明になった王女様を
探しだせって言いたいのか」
チェレネ:『えぇ』
ルチオ:「成る程、それは良い提案ですね。
どちらにせよ今現在、
帝国には近付く事すら不可能なのですから
情報がより明確な方から解決していく・・・
っというのはどうでしょうか?」
ツェッカ:『その提案良いかも、
待ってる時間勿体無いものね』
ルチオ:「それに、王女様に関して少し宛があるので
エーレさんには協力して頂きたい所ですし」
ヴァイゼ:「宛て、だと?」
ルチオ:「はい、以前何処かで似たような人物を
見かけたような気がするんですよ。
そこへ彼を向かわせて、本人ならば
連れて帰ってくれば問題は解決です」
ヴァイゼ:「ルチオ殿にしては、
随分と周りくどい言い方だな」
ルチオ:「そうですか?」
ヴァイゼ:「本当は何か知っているんじゃないか?」
ルチオ:「何か、根拠がおありで?」
ヴァイゼ:「それは、ないが」
ポラリス:「お、お二人ともっ!」
ルチオ:「なら、この話は終わりです」
ヴァイゼ:「くっ」
エーレ:「ちょ、ちょっと待て!
勝手に話進めてるけど俺に選択権は無いわけ?」
ルチオ:「おや、あるとでも思っていたんですか。
これは、チェレネが貴方に託した
“往くべき道”かもしれませんよ?」
エーレ:「・・・何か、
上手く丸め込まれてるような」
ルチオ:「気のせいですよ」(微笑)
ツェッカ:『エーレ。“運命の流れ往くままに”でしょ』
ポラリス:「それ、さっきも言ってましたが
合言葉とかですか?」
ツェッカ:『ふふ、秘密よ』
エーレ:「はぁ・・・しょうがないか。
ただ、こっちも命を掛ける仕事だ。
どうせだったら、
それなりの報酬は希望したいな」
ヴァイゼ:「この期に及んで!」
ソルシェ:「構いません」
ヴァイゼ:「陛下・・・」
ソルシェ:「エーレ殿、何をご所望なのですか?」
エーレ:「そうだな・・・」
ルチオ:「(食い気味)これならどうでしょう?
彼がこの仕事を成功した暁には
私も一緒にグランフェルの持ち主を探す、
というのは」
ツェッカ:『ぇ!?』
ポラリス:「せ、先生、本気ですか!?」
ルチオ:「勿論です」
チェレネ:『話は纏まったようですね』
エーレ:「・・・俺の話は通す気ゼロか」
ツェッカ:『ご愁傷様』
ルチオ:「そうと決まれば早速行動です。
陛下、彼をお借りしてもよろしいですか?」
ソルシェ:「えぇ、構いませんよ」
ルチオ:「ありがとうございます、それでは」
エーレ:「え、もう行くのか?
気が早いな」
ソルシェ:「エーレ殿」
エーレ:「・・・?」
ソルシェ:「王女を・・・、
娘を、どうかお願いします」
エーレ:「・・・分かりました。
陛下の笑顔のために一肌脱いできますよ」
ツェッカ:『も、申し訳ありません』
ソルシェ:「いいえ、愉快な方ですね」(微笑)
エーレ:「お褒めに預かり光栄です」(お辞儀をしてみせる)
ルチオ:「陛下、失礼致します。
ポラリス、魔方陣の準備を」
ポラリス:「は、はい!」
ツェッカ:『女神の加護を』(お辞儀をする)
(見送る)
チェレネ:『よろしいのですね』
ソルシェ:「はい・・・。これも運命、なのですから」
ヴァイゼ:「しかし、もし見つかったとしても
神具と引き合わせることになれば・・・」
ソルシェ:「分かっています。分かっていますよ」
ヴァイゼ:「・・・っ陛下」
ソルシェ:「私も・・・一国の王以前に、
一人の母親なのですね。
今はアルシャディアの危機よりも
娘の事ばかり考えています。
どうか、無事に戻って来て下さい」
チェレネ:『女神のご慈悲を』
ヴァイゼ:「姫様は、私がお守りします」
ソルシェ:「その時は頼りにしていますよ」(遠くを見つめている)
≪空中都市ソミュアへの道≫
ポラリス:「これからこの魔方陣を使って
ソミュアまで一瞬で転移します」
ツェッカ:『不思議な方陣。
今の魔法って凄く進んでいるのね』
ポラリス:「人々の日常生活をより良い形に発展させる事
それが僕たちの仕事なんですよ」
ツェッカ:『お仕事?』
ポラリス:「はい。これから向かう空中都市ソミュアは
魔学研究機関ヴァールハイトハルクがある
王国一の最先端都市なんですよ」
ツェッカ:『マガク・・・研究、キカン?』
ポラリス:「僕と先生はそこの研究者なんです」
ツェッカ:『そう、なの』(余り分かっていない)
エーレ:「そーだ。ルチオ、だっけ?」
ポラリス:「ちょ、ちょっと貴方!
先生を呼び捨てとはどういう」
ルチオ:「(遮る)ポラリス、構わないです。
同じ穴の狢ならば、
この際格差など関係ありません」
エーレ:「それは助かる。
んで、さっきは結構強引に話を進めたけど
本当なのか?」
ルチオ:「嘘偽りはありませんよ。
姫君の宛て、に関しても」
エーレ:「そりゃ、仕事が難なくこなせそうだな。
それで・・・俺はどうすれば良いんだ?」
ルチオ:「まずは周りから固めて行きましょう
形振り構わず接触して
何か問題があってからでは遅いのですから」
ツェッカ:『問題って?』
エーレ:「あぁ、一筋縄じゃいかないって事さ」
ツェッカ:『ふぅん・・・』
ルチオ:「そういうことです。
先ずは共和国ランガルトの中心部となる
首都フラーテルに向かってください」
エーレ:「ん、フラーテルか」
ルチオ:「念の為こちらから書状は送っておきますが、
私の名前を出せば言わずとも語ってくれるでしょう」
エーレ:「成る程。
っで、俺らは誰に会いに行けばいいんだ?」
ルチオ:「ギルド、氷山の熊(イスベルグ アルクトス)団長
ヌーヴェン=モンタスという男性です」
チェレネ(N):『明かされて行く存在、
そして新たに現れる存在・・・
光と闇が動き出した今、
貴方は何を思う、女神ヴァレスティアよ』
ソルシェ:「次回『Histoire of Eternto(イストワール オブ エテルノ)』
第10話 」
ルチオ:「故郷、ですか。
私にもそんな物がありましたね」
ポラリス:「先生が名家のご出身だったなんて、
驚きました」
ルチオ:「正直、言われるまで忘れてましたよ」
ポラリス:「へっ!?
先生に限ってそんな事が・・・」
ルチオ:「冗談ですよ」
ポラリス:「うぐっ」
ツェッカ:『ねぇねぇ、いっつもこんな感じ?』
ルチオ:「えぇ、非常に息抜きになりますよ」
to be continued...?
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