・・イストワール オブ エテルノ・・
『Histoire of Eternto』
第6話 四ヶ国、円卓会議≪登場人物≫
ラキア=コンラート♀(28):真面目で規則に厳しい性格でいい加減な態度が嫌い。
仕事に対しても真剣そのものでとても優秀。
外見は物腰柔らかく凄く優しい。ギャップが激しい人物。
シエル=ローレット♂(24):やや口は悪いが、率直で明るく悪気が無い性格なので
周囲も好意的である。
ゲーエン=エルヴィス♂(48):聖都の宰相。威厳在りしも、物事に柔軟に捉える。
ユアン=イグニス♂(22):物腰が柔らかく、誰にでも優しく面倒見もいいので、
多くに人に好意的に思われている。
スレイヴ=グローリア♂(41):気さくで型にはまらない自由者。
年上に対しては多少の礼儀を使うが基本軽口。
真面目な時はとことん真面目。
ハザル=ジュリアス♂(28):喋りは単調で無口。それ以外は謎。フードで姿を隠している。
ベルヴァルク=ガードナー♂(28):若くして多くの武勲を立てた武人。
冷戦沈着で多くは語らないポーカーフェイス。
レヴァンダ=オルグリオ♀(25):仕事に対しても真剣そのものでとても優秀。
冷静に物事を判断し、多くは語らない。
ルチオ=カサモラータ♂(25):誠実、真面目さが滲み出ていて好印象な外見だが、
実は野心家。
物事に対してややニヒルでシ二カルな一面もある。
少し変わり者で得意分野に関しては
マシンガントークになる。
セグレート=ソヴァール♀(19):黙っていれば普通の女の子。
いつもオドオドしていて、多少天然が入っている。
男性に対しては極度の人見知りを発揮しているが、
打ち解けると仲良くなるまでが早い。
≪配役表≫ (3:2)
シエル♂・ルチオ♂:
ラキア♀・ユアン(♂or♀):
ゲーエン♂・ベルヴァルク♂:
レヴァンダ♀・セグレート♀:
スレイヴ♂・ハザル♂:
0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0--0---0----
≪円卓会議≫
ゲーエン:「各国の皆様。
この度は緊急招集につきまして、ご足労感謝いたします。
私は、ルミナシア国の宰相を勤めております、
ゲーエン=エルヴィスと申します。
円卓会議の進行につきましては、私が行なわせて頂きます。
(一息着いて全員の顔を確認する)
アルシャディアの創造主で在られる、
女神ヴァレスティア様の御名のもと、
約束されし真実と調和を、守護獣の名に掲げ、
共に誓いを交わして頂きたい」
ゲーエン:「ルミナシア国より、聖セレスティア教会
大司教(アークビショップ)ラキア=コンラート殿」
ラキア:「はい。“大鷲の紋章”守護獣コモラに誓います」
ゲーエン:「シルヴェスタ国より、魔学研究機関ヴァールハイトハルク
最高責任者、ルチオ=カサモラータ殿」」
ルチオ:「はい。“白馬の紋章”守護獣チェレネに誓って」
ゲーエン:「オルディン国より、帝国軍ルディネガルデリア副将、
レヴァンダ=オルグリオ殿」
レヴァンダ:「はい。“獅子の紋章”守護獣ニエンテに誓います」
ゲーエン:「ランガルト国から、ギルド代表蒼穹の燕(エンペリアン シュヴァルベ)
団長、総指揮官スレイヴ=グローリア殿」
スレイヴ:「“精霊の紋章”守護獣ピルカに誓う」
ゲーエン:「ご協力ありがとうございます。
ご同行頂いた方々については、
別室の傍聴室で待機して頂いております故、
ご安心して下さい」
ラキア:「『Histoire of Eternto(イストワール オブ エテルノ)』
第6話 四ヶ国、円卓会議」
ゲーエン:「それでは早速本題に入らせて頂きます。
書状にも記載した内容の復唱となりますが、
先日、ルミナシアは何者かに襲撃され、
多大な被害を被りました。
結界の崩壊により、多数の魔物の侵入がありましたが、
聖騎士団と有志の協力により、事態は一旦収拾致しました。
街全体の被害は総額にすれば一千ディア程です。
死亡者こそ出ておりませんが・・・
軽傷者が多数、との報告を受けております。
結界の補修は数日前に終わっている状態ですが
完全修復には、後2~3週間程かかると見越して御座います」
レヴァンダ:「状況は把握しました」
ゲーエン:「さて、ランガルト側からも
同様の被害があったと伺っておりますが、
ご報告願えますかな?」
スレイヴ:「了解。こちらも、数日前に何者かの襲撃を受けた。
一度目は西(デュシス)方面を広範囲によって破壊され、
時間差で二度目は東(シャルク)方面に。
こっちの規模はそれ程大きくなかったが、
聖都と同様、多数の魔物の侵入があり、
四大ギルドの早急な働きに寄って事態は収拾できた。
被害総額としたら三千ディアって所だな。
被害の割に軽傷者は数人程度で、勿論 死亡者は0。
結界の補修は急ピッチで行なっている最中だが、
二箇所含め、完全修復には一ヶ月以上は掛かる見込みだ」
ルチオ:「どちらも同時期に同じような手法で
襲撃をされているわけですか・・・」
レヴァンダ:「失礼。その襲撃犯とやらの目処は
たっておられるんですか?」
ゲーエン:「えぇ。確信とまでは至っておりませんが、
襲撃時に現れた異質な人物の特定は出来ております」
レヴァンダ:「異質・・・?」
ラキア:「つまり、その場にそぐわない人物が存在していた、
という事になります」
スレイヴ:「・・・っ、そう言う事か。
ってことは、それすらもこっちと似通ってる訳か」
ゲーエン:「ほぅ、そちらもですか」
スレイヴ:「えぇ。うちのギルドに、
その異質な存在と接触した人間がいましてね」
ルチオ:「・・・察するに、
ルミナシア側も接触していると捉えて、
間違いではないですか?」
ゲーエン:「お察しの通りです」
ルチオ:「どうにも犯人側の意図には、
敢えて、発見させる狙いがあると思えて成りませんね」
ラキア:「或いは、純粋な破壊活動の線も、
可能性が無いとは言い切れません」
ルチオ:「確かにそうですが。
結界の破壊が目的と言う割には、
余りにも仕事が雑すぎませんか?
工作活動としては、穴だらけです」
レヴァンダ:「推測だけで話を進めても
目的が明確になるわけでは無いでしょう。
他に、確信に変わる証拠でもあれば
話は変わりますが・・・」
スレイヴ:「その事だが、犯人に関して少し気になる事があってな」
ルチオ:「なんでしょうか?」
スレイヴ:「フラーテルを襲撃した犯人は、
そこに居るはずのない異質な人物。
そいつは“白馬の紋章”を纏っていたという情報だ」
ルチオ:「おや、面白い事になってますね」
スレイヴ:「改めて思ったのは・・・
そんな穴だらけの犯行を果たして、
シルヴェスタ側が行なうか、だが」
ルチオ:「混乱を招く、という発想で言えば。
可能性として在り得ますね」
スレイヴ:「実際の所は?」
ルチオ:「全く存じ上げない事実です。
そもそも、我々シルヴェスタは、
ルミナシアとランガルト共に、交易関係にありますから、
自らの国を追い込む様な真似をする筈がありません。
何故わざわざデメリットになるような事をしなければ
ならないのでしょうか?」
スレイヴ:「仰るとおりで」
ラキア:「その件なのですが」
ルチオ:「ルミナシアも同じ事を仰るおつもりですか?」
ラキア:「いえ、我々の場合“獅子の紋章”を纏った者です」
レヴァンダ:「・・・」
ゲーエン:「オルグリオ殿、何かございませんか?」
レヴァンダ:「覚えの無い話です。ですから
それ以上に申し上げる事はございません」
スレイヴ:「それだけじゃ説得要素が足りないと思うが」
ルチオ:「オルディンは何処とも友好関係にある訳では在りません。
言うならば独裁国家そのものですから、
しっかり釈明をしなければ、疑いは深まるばかりですよ?」
レヴァンダ:「妄想を膨らますのはそちらの自由です。
我々はどう解釈されようと一向に構いません」
ルチオ:「おや、振られちゃいましたね」
レヴァンダ:「安い挑発に乗るつもりは御座いませんので」
ルチオ:「残念です」
レヴァンダ:「・・・」
ルチオ:「先程も申し上げましたが、
我々は全く覚えが在りませんので、他の可能性として
第三勢力の存在を上げさせて頂きます」
スレイヴ:「第三勢力か。単純に考えれば
やり口が荒く、ゲリラ的とも言えるのか」
ルチオ:「そういうことです。濡れ衣を着せるにせよ、
我々シルヴェスタに対して
浅はかであるとしか言いようが在りませんね」
レヴァンダ:「その点に関してはシルヴェスタに同感です。
我々オルディンにしてみれば既に、
浅はか、など言う言葉で済ませられる内容ではありません」
スレイヴ:「なんだ、オルディンは真犯人でも捕まえて
何かするつもりか?」
レヴァンダ:「お答えする義理はありません」
スレイヴ:「随分、勿体ぶった言い方をするな」
レヴァンダ:「そんなに、お聞きになりたいのですか?」
スレイヴ:「いや、やめておこう。楽しい話でも無さそうだしな」
レヴァンダ:「・・・」
ゲーエン:「そうですね・・・。
両国とも、確実に疑いが晴れたわけでは在りませんが、
この件に関しては後日、待遇を考案する事にしましょう」
ラキア:「分かりました」
ゲーエン:「此処からは、今しがた浮き彫りになった
第三勢力についての議論を始めましょう」
スレイヴ:「可能性としては、無きにしも非ずか」
ラキア:「そもそも、犯行を行なった目的はなんでしょう?」
ルチオ:「今予測される犯行動機としては、二つ在ります。
一つ目は。結界を壊し、各国の要人を
犯人に仕立てあげることに寄って、
戦争を引き起こさせる。
二つ目は。結界を壊し、魔物を侵入させ
首都の壊滅を目論む。
ですが、両国の被害の様子から伺うと
こちらの線は薄くなりますね」
レヴァンダ:「一つ目にしても、第三勢力の線が出てきた現在、
戦争を引き起こさせる事に関して、
そこまで効力があるとは思えないのですが」
ラキア:「もし、今回の襲撃が試験的なものだとしたら?」
レヴァンダ:「どういうことです?」
ラキア:「結界の破壊は二次的なものであり、
本命は、大量の魔物を侵入させ
首都を壊滅させる事。
今回の襲撃は、実験の様なものかも知れない
という事です」
ルチオ:「それでは・・・。犯人に仕立てあげる、
という行為に対して、どうお考えですか?」
ラキア:「今現在、釈明はあったものの、
確実に嫌疑が晴れているわけでは在りません。
その内なる闇、それが目的ではないでしょうか?」
ルチオ:「ほぅ、ますます面白い事になってますね」
レヴァンダ:「低レベルな思考に、笑いすら覚えます」
ゲーエン:「ふむ・・・そこで、それらを踏まえたうえで。
二つ目の議題に入らせて頂きたい」
レヴァンダ:「・・・その様な話、
書状には記載されていませんでしたが」
ラキア:「ご安心下さい。全てが通ずる話なので
書状に書かれていた内容とは異なりません」
レヴァンダ:「・・・分かりました」
ゲーエン:「では、改めて。コンラート殿」
ラキア:「はい、説明いたします。聖騎士団上部及び
セレスティア教会の上部を含む先遣隊を派遣し、
実地調査を行ないました。
この調査を実施するに至ったのは、
それ以前に、結界外からの救援要請があったからです」
スレイヴ:「救援要請って事は、魔物が関係してることか?」
ラキア:「はい。要請があった場所に向かった聖騎士団からは、
凶暴化した大量の魔物により、半壊状態に追い込まれていた。
という報告が上がっております」
レヴァンダ:「どういうことですか?
魔物は本来、自ら人里に近づく事は無い筈。
それが、凶暴化し半壊させるまでに至った。
そのような話、2000年の歴史の中で
聞いたことがありません」
ラキア:「えぇ。ですから我々は、
魔物に関する異変の調査を行ないました。
近年稀に見る魔物の増加は
個々で察知する程度では在りましたが、
此処最近で、急激に増加し、
凶暴化する傾向にある事が判明致しました」
ゲーエン:「仮定の話にはなりますが、
第三勢力がこの異変を知っていたとしましょう。
その上で、結界を破壊し凶暴化した魔物を大量に侵入させ、
首都の壊滅を目論む。・・・これで辻褄はあいます」
レヴァンダ:「漸くはっきりした形が見えてきましたね」
スレイヴ:「確かにそうかも知れないが、あくまで仮定の話。
信憑性は欠けると思われます」
レヴァンダ:「申し上げますが、此処までの話し合いで
核心に迫った仮説が在りましたか?」
スレイヴ:「それを言われちゃ、返す言葉も無い」
レヴァンダ:「・・・事実を述べたまでです」
ルチオ:「此処で足踏みをしていても仕方ないと思いますよ」
スレイヴ:「そうだな、話を進めようか。
ところで・・・・、
魔物の増加と凶暴化はルミナシア地域だけか?」
ルチオ:「その件に関しては、
こちら側でもその現象が見られています」
ラキア:「シルヴェスタもですか?」
ルチオ:「はい。シルヴェスタ国内でも
同じような異変が数年前からありまして、
私の研究機関で、独自に調査を行なってはいるのですが、
今の所、真相に迫った結果は得られていません」
レヴァンダ:「・・・・」
ルチオ:「風の噂で、オルディンも
独自で調査を行なっていると、聞きましたが。
どうですか?」
レヴァンダ:「噂は噂。我々が語れる事は何一つ」
ルチオ:「意味深ですね。取り敢えずは、
そう言う事にしておきましょう」
レヴァンダ:「・・・」
ラキア:「ルミナシアは、確信に近いものを得られています」
ルチオ:「それが先程仰っていた、
全てに通ずる部分になるんですね」
ラキア:「はい」
ルチオ:「お伺いしても宜しいですか?」
ラキア:「えぇ、襲撃事件があった日の午前。
女神ヴァレスティア様から神託が在りました。
そう遠くない未来に、大きな災厄が訪れると」
ゲーエン:「我々は、こう考えております。魔物の異変。
そして、それを利用しようとしている第三勢力。
その全ての異常が、
いずれ来たる災厄の前兆では無いかと」
ルチオ:「なるほど・・・」
ラキア:「当然、現段階で最優先に行なうべきは
第三勢力の特定でもあります。
ですが、今回の襲撃時や結界外の被害を含め、
早急に魔物への対策を練らなければなりません」
スレイヴ:「そちらを先決すれば、必然的に第三勢力の目論みも
効果としては薄められるって事か」
ゲーエン:「お察しの通りです。
いくら各国の軍事勢力が整っていたとしても
捨て置けば、魔物は無尽蔵に増え続けます。
いずれ人の手に追えなくなるでしょう。
ですから、手遅れになる前に各国の協力を募りたいのです」
レヴァンダ:「御言葉ですが、具体的な対策はお持ちなのですか?」
ラキア:「勿論です。それは・・・
女神の心、古代に眠りし希望の光を開放する事。
それが、現在我々が考えている対策です」
スレイヴ:「希望の光?」
ゲーエン:「女神ヴァレスティア様から与えられし、八つの神具です」
スレイヴ:「天地戦争と女神の制約に出てくる伝説の武器ですか」
ゲーエン:「はい」
ラキア:「神具の力を結集、及び開放し、
女神ヴァレスティア様を復活させることによって
アルシャディアを再生させることが可能となる。
それが、魔物の異変を根本から食い止める最善の方法です」
ゲーエン:「書物によれば、解放された神具は
神の如し業を発揮するそうで・・・
今後、魔物との戦闘において、大いに活躍する筈です」
ルチオ:「・・・。そこまでは理解できましたが。
その神具が悪用される可能性は、考慮していますか?」
ラキア:「心配に及びません。
神具の所有権は、資格がある者のみ。
その者達は守護獣によって選ばれ、
更に選定された者である事が条件です」
スレイヴ:「守護獣に選ばれ、って言うのは、
書状に書いてあった加護を受けし者と同等の意味なのか」
ラキア:「はい」
レヴァンダ:「理屈では理解できたとしても、
実際に動くと成れば、随分と荒行になりますが」
ゲーエン:「ふむ。手当たり次第では無く、
資格がある者を的確に探すにはどうするか、ですね」
レヴァンダ:「えぇ」
ゲーエン:「そのことについてですが。
資格がある者は、元々神具と引き合う関係にある、
という事実の把握はしていたのですが、
最近になって、更に決め手となるお話が在りまして」
レヴァンダ:「・・・決め手、とは」
ラキア:「守護獣が、選ばれし者を通して神具を探し出したのです。
ですから、彼らの様な選ばれし者達は、
神具と何かしらの縁(えん)で繋がっているのではないかと」
レヴァンダ:「逆に言えば、神具を持つべき資格者はそれに縁(ゆかり)が在る者、
そう、捉えていいですね?」
ゲーエン:「はい」
ラキア:「我々の目的は、各国の守護獣への呼応と、
神具の捜索への協力を仰ぐことです。
それらが、アルシャディア再生の為の最善策と推定し
此処に提言致します」
ゲーエン:「ルミナシアからは以上です。
各国のご意見を伺いたい」
ルチオ:「そうですね、襲撃事件に関して言えば意見は変わりません。
我々とは無関係な人間、つまり、第三勢力による工作だと思います。
我が国の象徴“白馬の紋章”を悪用されたとなれば、
静観するわけにも行きません。
疑念を晴らし、今後の友好関係を保つ為にも
協力は惜しまないつもりですよ」
ゲーエン:「それでは・・・」
ルチオ:「えぇ。シルヴェスタは、ルミナシアの協力要請に応じます。
勿論、調査込みですから人もお貸しします」
ラキア:「助かります」
スレイヴ:「今回は被害者なんだが、
ランガルトとしても、
今後同じような事が起こるのは正直考えものだ。
丁度、ギルドに協力要請も出てた筈だしな。
この事態を打破する可能性が少しでもあるなら、協力はしようと思う。
が、生憎決定権は持ってないからな。
一度本国に戻って改めて書状を送ろう。
なんなら、ルミナシアとランガルトの保険として一人、
こっちに留まらせておくが・・・」
ゲーエン:「ありがとうございます、その方が迅速な対応が望めますね」
レヴァンダ:「私にも決定権は御座いませんので、ランガルト同様
オルディンも後日返答させて頂きます」
ゲーエン:「分かりました。良い返事を期待していますよ」
レヴァンダ:「・・・・」
≪傍聴室≫
ユアン:「神具を解放し、女神を復活させる事による
アルシャディア再生・・・」
ハザル:「・・・」
ユアン:「具体的に、再生ってどういう事を指してるんでしょうか」
ハザル:「誰も知るすべは無い」
ユアン:「そう、ですよね」
ベルヴァルク:「異質だな」
ユアン:「っ?」
ハザル:「・・・・」
ベルヴァルク:「・・・お前は何者だ」
ハザル:「・・・」
ユアン:「その・・・・」
セグレート:「(食い気味)か、会議が、そ、そろそろ終わりそうですよ?」
ユアン:「そ、そうですね」
セグレート:「あ、あの。えっと、申し遅れました。
わ、わわ私はシルヴェスタからやって、きました。
司祭(ビショップ)の、セグレート=ソヴァールで、です!」
ユアン:「あ、えっと。ランガルトから来ました、
ギルド、蒼穹の燕(エンペリアン シュヴァルベ)の
ユアン=イグニスです。
フード被ってる人はハザル=ジュリアスさんです」
ハザル:「・・・・」
ベルヴァルク:「・・・ハザル?」
セグレート:「よ、よよよ宜しくお願いします」(勢いよくお辞儀をする)
ユアン:「よ、宜しくお願いします。あの、調子が良くないようでしたら・・・」
セグレート:「(食い気味)あっ! えっと、
ひ、人見知りなだけ、なんですっ」
ユアン:「そうなんですか・・・」(苦笑)
セグレート:「も、もう一人の方は・・・、
ど、どなたなんですかね?」(コッソリ)
ベルヴァルク:「・・・・・」
(傍聴室に入ってくる)
【ノック音】
レヴァンダ:「失礼、ガードナー将軍。
会議が終わりましたのでお迎えに上がりました」
ベルヴァルク:「・・・・スグに帰還する」(去る)
レヴァンダ:「畏まりました」(去る)
ユアン:「行っちゃいましたね」
セグレート:「か、会議が、終わったと言うことは、
ルチオさんも、そろそろ・・・」
(傍聴室に入ってくる)
【ノック音】
シエル:「失礼します。長らくお待たせ致しました。
只今、手続きを行なっている為もう暫くお待ち下さい」
ユアン:「あの」
シエル:「何か?」
ユアン:「今出て行った方は・・・」
シエル:「あぁ。オルディンからいらした、
ルディネガルデリア軍の将軍、ベルヴァルク=ガードナー殿です」
セグレート:「な、なななんで議会に出ないで此処に、い、いたんですか?」
シエル:「自ら望んで傍聴に回られたと聞きましたが」
ユアン:「将軍といえば、
国内でも最高位に近い権力を持つ人・・・ですよね?
どうして、直接会議で発言なさろうとしないんでしょう?」
シエル:「噂に聞けば、多くを語ろうとしない性格の御方、らしいですよ」
ユアン:「そ、そういう理由で・・・?」
ハザル:「若くして多くの武勲を立てた武人でもある」
シエル「言葉より、剣の腕で政治するほうが
向いてらっしゃる御方なんでしょう。
ま、私もあまり人のことは・・・ん?」
ユアン「なるほど・・・ガードナー将軍、不思議な方ですね。」
シエル「えぇ、ところで・・・」
セグレート:「(食い気味)あぁっ!!」
ユアン:「ど、どうしたんですか?」
セグレート:「反応があったんです!」
(地響き)
ユアン:「っ! 今揺れませんでしたか?」
シエル:「揺れましたね・・」
セグレート:「こ、これは大きいですよぉ!」
シエル:「お、落ち着いて下さい! 状況が全く読めないのですが」
セグレート:「と、兎に角急ぎましょう!」(テラスに出る)
ハザル:「・・・っ!」
セグレート(声):「あわわっ、これは凄いです!!
み、みなさんこ、こちらです!!」
ユアン:「えっと・・・?」
ハザル:「テラスだ」
ユアン:「テラスに行けば分かるってことですか?」
ハザル:「・・・・」(頷く)
シエル:「様子を見に行って見ましょう」
ユアン:「はい」
≪テラスに出ると結界のスグ近くで
大型の魔物が結界を壊そうと暴れている≫
シエル:「なっ!?」
ユアン:「っ!? 大型の魔物が結界を壊そうとしてるっ!
一体どういうことですか?」
セグレート:「つまり、こ、こういう事なんです!」
ユアン:「え? あの・・・」
ハザル:「先に行く」(去る)
ユアン:「は、ハザルさん!? あ、行っちゃった」
シエル:「申し訳ないですが、私も席を外させて頂きます」
ユアン:「お気をつけてっ」
シエル:「有難う御座います。それでは、失礼します」(去る)
セグレート:「ゆ、ユアンさん! わ、私たちも
い、急いで行きましょう!」
ユアン:「わ、分かりました」
シエル(M):「全てが解決したとは言い難いが、
法国ルミナシアが催した円卓会議の目的は、
果たされる事となった。
しかし、それと同時に更なる事態が聖都を襲っていた」
ユアン:「次回『『Histoire of Eternto(イストワール オブ エテルノ)』
第7話 闇の鼓動」
セグレート:「た、大変です大変です! い、急いでください」
ルチオ:「セグレート。分かっていますから、まずは落ち着いて下さい」
セグレート:「は、ははははいっ!!」
ルチオ:「やれやれ・・・」
to be continued...?
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